渋滞予測進化論

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高速道路の現場で活躍する
渋滞予測のプロ。
そして渋滞を研究する
交通工学のエキスパート。
二人のクロストークから
渋滞予測の今と未来が見えてくる!?

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渋滞予測の今と未来が見えてくる!?

渋滞を知らなければ道路を計画できない。 高度成長とともに進化してきた渋滞予測。

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渋滞予測の研究はどのように
始まったのでしょうか?

  

中村教授(以下、敬称略) 渋滞は安全と並んで、交通工学を研究する際の大きな課題のひとつです。研究として始まったのは、1950年代のアメリカ。経済成長とともに道路の需要が増す一方で、作り方や使い方によって道路の能力が変わることを知らないと計画ができません。“交通容量”といって、道路には車の流れを処理できる物理的な上限があります。そこを踏まえた上で何車線必要かとか、青信号を何秒出すかなど、様々なことを決めていくんですね。裏返すと、その道路の上限を超えると渋滞になる現象を理解しておく必要があります。渋滞予測は需要と供給の関係。需要をちゃんと推定する。その一方で、供給に関して交通容量をきちんと知っておく。そんな考えのもとに研究が本格的に始まりました。

渋滞を知らなければ道路を計画できない。 高度成長とともに進化してきた渋滞予測。

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渋滞予測の研究はどのように
始まったのでしょうか?

  

中村教授(以下、敬称略) 渋滞は安全と並んで、交通工学を研究する際の大きな課題のひとつです。研究として始まったのは、1950年代のアメリカ。経済成長とともに道路の需要が増す一方で、作り方や使い方によって道路の能力が変わることを知らないと計画ができません。“交通容量”といって、道路には車の流れを処理できる物理的な上限があります。そこを踏まえた上で何車線必要かとか、青信号を何秒出すかなど、様々なことを決めていくんですね。裏返すと、その道路の上限を超えると渋滞になる現象を理解しておく必要があります。渋滞予測は需要と供給の関係。需要をちゃんと推定する。その一方で、供給に関して交通容量をきちんと知っておく。そんな考えのもとに研究が本格的に始まりました。

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NEXCO中日本ではどのように始まったのでしょうか?

川島さん(以下、敬称略) 予測自体は40年くらい前から始まっています。

中村 1980年ごろですね。

川島 はい、そうです。その頃に車両感知器が整備され出しました。感知器が設置されている道路では、通行中のクルマの交通量や速度が自動的に検知されるようになっています。これによって、渋滞を把握する精度がぐんと上がりましたね。

中村 東海地区の渋滞も、新東名ができたり、伊勢湾岸がつながったりして、最近かなり状況がよくなりましたよね。以前は名古屋と豊田や岡崎と豊田の間は毎日のように渋滞していました。東京や大阪に比べればかなりスムーズです。

川島 そうですね。岡崎はかなりなくなりましたよね。だいぶ落ち着いてきました。

これまでの予測データとこれからのビッグデータが 渋滞予測の精度をさらに上げる。

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渋滞予測の精度はどれくらい上がっているのでしょう?

中村 長期と短期の予測、どちらの精度も上がってきています。理由のひとつは、川島さんも指摘する通り、車両感知器などの分析技術が上がっていること。また、車両感知器以外のビッグデータにより、人がどういう風に行動しようとしているのかある程度予測できるようになってきたことも大きいです。渋滞の予測も20年前からデータを蓄積しています。年末年始休みの曜日の配列や天気、景気動向などのいろいろなデータを基に分析ができるようになっています。またスマホのデータなど、量だけではなく、視点の違う情報がビッグデータから集まるようになっているので、web上のマップを見たりすると、リアルタイムでどこが混んでいるか、その精度は相当に高くなっています。

 

―川島さんは渋滞予測の精度は上がっていると感じますか?

川島 そうですね、中村先生が言うとおり、予測に必要なデータが揃ってきています。速度とか時間とか、ある意味、経験と勘で分析していた箇所が根拠をもってやれていますね。活用できるデータが増えています。

中村 その前にNEXCO中日本さんの技術が上がっていますよ。同じデータを見るにしても解析の仕方が上手になっていると、外から見ても感じます。

川島 ありがとうございます。やはり高速道路を預かる会社なので、責任とプライドを持って取組んでいます。そこを評価してもらえるとやる気もでるし、もっとやっていかなくては、と思いますね。

渋滞を減らすことは、交通事故も減らすこと。 予測のハードルは高いけれど、安全を守るために挑戦する。

 

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渋滞予測の難しさは
どこに
あると思いますか?

中村 渋滞には、交通集中渋滞と、交通事故や荒天など予測できない状態が引き起こす事故渋滞と2種類あります。前者はさきほどお話したように、予測が進んでいるのですが、後者はやはり予測しづらい。さらに交通集中渋滞が起こると事故渋滞も起こりやすくなるのです。分かりやすく言うと、渋滞すると交通事故が起こりやすくなる。渋滞している時の交通事故率は渋滞していない時の数十倍になるとも言われていて、交通安全上の問題からも渋滞は減らさなければなりません。

川島 本当にそう思います。交通事故を減らすためにも、もっと渋滞を減らさないといけないんです。

中村 渋滞予測は、自然に起こる渋滞と事故渋滞を複合すると本当に難しい。渋滞している所に交通事故が起きる事態は、普通は予測できません。想定外のことが起きたら、とんでもない渋滞になるのです。

川島 難しいですよね。

中村 ただ、ビッグデータで直近の行動データはある程度とれるようになってきているので、想定外にも対応は早くできるようになりつつあります。ただ事実として、予測の「予」にはどうしても限界がでてしまいます。

川島 確かに渋滞予測は難しいけれど、安全を守るためにさらに挑戦しなくてはいけないところですよね。

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渋滞を減らすことは、交通事故も減らすこと。 予測のハードルは高いけれど、安全を守るために挑戦する。

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渋滞予測の難しさは
どこに
あると思いますか?

中村 渋滞には、交通集中渋滞と、交通事故や荒天など予測できない状態が引き起こす事故渋滞と2種類あります。前者はさきほどお話したように、予測が進んでいるのですが、後者はやはり予測しづらい。さらに交通集中渋滞が起こると事故渋滞も起こりやすくなるのです。分かりやすく言うと、渋滞すると交通事故が起こりやすくなる。渋滞している時の交通事故率は渋滞していない時の数十倍になるとも言われていて、交通安全上の問題からも渋滞は減らさなければなりません。

川島 本当にそう思います。交通事故を減らすためにも、もっと渋滞を減らさないといけないんです。

中村 渋滞予測は、自然に起こる渋滞と事故渋滞を複合すると本当に難しい。渋滞している所に交通事故が起きる事態は、普通は予測できません。想定外のことが起きたら、とんでもない渋滞になるのです。

川島 難しいですよね。

中村 ただ、ビッグデータで直近の行動データはある程度とれるようになってきているので、想定外にも対応は早くできるようになりつつあります。ただ事実として、予測の「予」にはどうしても限界がでてしまいます。

川島 確かに渋滞予測は難しいけれど、安全を守るためにさらに挑戦しなくてはいけないところですよね。

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後半につづく
 
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